埼玉医科大学総合医療センター

ゲノム診療科

電話番号

診療案内:049-228-3411

番号案内:049-228-3400

当科について

ご挨拶

がんゲノム診療がわが国の政策として行われるようになり,当院でも2019年4月からゲノム診療科が開設されました。「ゲノム医療」とは,本来きわめて広い範囲の診療を含みますが,現在急速に普及しつつあるのが「がんゲノム医療」です。当科の責務は,この「がんゲノム医療」を実践することにあります。健康保険のもと,あるいは自費診療の中でのがん遺伝子パネル検査によって,患者さんのがんに有効な薬物(抗がん剤)があるかということを調べ,最適ながん治療を受けていただくことを目指します。がん遺伝子パネル検査は今後急速に進歩していく可能性があり,当科ではこのような動きに迅速に対応する体制で臨んでいます。

がんゲノム診療の一環として,遺伝性腫瘍が見つかることがあり,適切に対応することが求められています。つまり遺伝性腫瘍の患者さんと血縁者の方には一般のがん(非遺伝性のがん)とは異なる治療,検査,支援が必要なことがあります。当院では,がんゲノム医療の普及前より,遺伝性腫瘍,特に遺伝性大腸癌であるリンチ症候群や家族性大腸腺腫症の治療経験数が全国的にもトップクラスであり,消化管・一般外科と連携して遺伝性腫瘍の診療のサポートを積極的に行っています。また,社会で関心が高まっている遺伝性乳がん卵巣がんについては,関連診療科との密接な連携を行っています。

遺伝(遺伝性腫瘍を含む)等の専門医や認定遺伝カウンセラーが責任をもってがんゲノム医療を受ける患者さん,遺伝性腫瘍の患者さん,血縁者の方に対応致します。なお,がんではない遺伝性疾患(疑いを含め)についても関連診療科や他の医療機関を紹介する等,適切に対応しますので,お気軽にご相談下さい。

当科の診療について

診療申し込み方法

対象となる患者さん

1.保険診療の場合
・希少がん,原発不明がん,標準治療が終了したがん
・薬物療法(抗がん剤,分子標的薬など)が継続して行える体調である方
2.自費診療の場合
・がんの種類やステージ,病状に特別な制限はありません

1.遺伝性腫瘍の診断と治療

遺伝性腫瘍の患者さんは同じがんを何度も発症する(多発性),様々な臓器に発がんする(多重性),若年で発がんする(若年発症),家族にがんの患者さんが多発する(家族集積性)などの特徴があります。患者さん自身の適切な診断・治療・定期的な健康管理が必要なばかりでなく,同じ原因を持った血縁者の方にも同様の対策が必要です。代表的な遺伝性腫瘍は血液を用いた遺伝子診断が可能です。多くの遺伝性腫瘍の遺伝子診断は自費診療で行いますが,一部の疾患については研究として行うことも可能です。

また,がんゲノム遺伝子パネル検査などのがんゲノム医療で遺伝性腫瘍が見つかった患者さんやご家族の支援を行います。

当科でご相談に応じることができる遺伝性腫瘍を以下に挙げますが,実際の診療や定期検査については他の診療科を紹介することもあります。

対応可能な遺伝性腫瘍
リンチ症候群
大腸癌、子宮内膜癌(子宮体癌)、卵巣癌、胃癌、腎盂・尿管癌、小腸癌、膵癌、脳腫瘍、胆道癌など、さまざまな種類のがんに他の方よりも罹りやすいことが知られています*1。
ご本人やご家族、ご親戚の癌の種類や罹患年齢から、リンチ症候群が疑われます。確定診断には遺伝学的検査が必要となります(保険適応外)。
※1必ずすべてに罹患するということではありません。
家族性大腸腺腫症(家族性大腸ポリポーシス)
生まれつき大腸に多発するポリープができる疾患で、放置すると大腸癌がほぼ100%発生します。その他に十二指腸癌、デスモイド腫瘍、甲状腺癌などの病変を伴うこともあります*1。
大腸や胃、十二指腸などにポリープが多発することが知られており、特に大腸は10~20代から無数のポリープが観察されることも多くあります。そのため、大腸内視鏡検査にてFAPの診断がつく場合もあります。
大腸のポリープが癌になる前に大腸の切除を行い、癌を予防する方法が世界中で勧められています。
 ※1必ずすべてに罹患するということではありません。
遺伝性乳がん卵巣がん症候群
生まれつき乳癌、卵巣癌に罹りやすい体質で、その他に膵癌、前立腺癌も一般の方より罹りやすいことがわかっています*1
ご本人やご家族、ご親戚の癌の種類や罹患年齢から、遺伝性乳がん卵巣がん症候群の可能性を考慮します。 遺伝性乳がん卵巣がん症候群の確定診断には、遺伝学的検査が必要となります(2020年4月より保険収載)。
※1必ずすべてに罹患するということではありません。
その他
  • Peutz-Jeghers(ポイツ・ジェガース)症候群
  • 若年性ポリポーシス症候群
  • Cowden(カウデン)/過誤腫症候群
  • Li-Fraumeni(リ・フラウメ二)症候群
  • 多発性内分泌腫瘍症(Multiple endocrine neoplasia, MEN)
  • 遺伝性びまん性胃癌
  • その他の家族集積性腫瘍症候群

家族や親戚にがんに罹患した人が多く、自分もがんに罹るのではないかと心配
自分ががんに罹患したけれども、子どもたちもがんに罹りやすいのか心配
などがんと遺伝(罹りやすさ)に関するご質問などございましたらお気軽にご相談ください。

2.非腫瘍性遺伝性疾患の診断と治療

産科・小児科領域を除く成人の遺伝性代謝疾患,神経疾患のご相談に応じることが可能です。当科ではこういった非腫瘍性遺伝性疾患の遺伝子診断や治療・定期検査は行っておりませんが,院内の診療科や他の医療機関へご紹介することが可能です。

臨床遺伝専門医,家族性腫瘍専門医が診療を担当し,専属の認定遺伝カウンセラーが遺伝カウンセリングを行います。

遺伝子診断・遺伝カウンセリング料:原則自費(研究に参加される場合を除く)

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